額縁の一種でtabernacle(タベルナクル)額縁と呼ばれるものがあります。古代建築物の正面をぎゅっと凝縮したかのように思わせるその形はなんとも格調ある風格を漂わせ、その風貌は強烈な印象を観るものには与えています。絵画と一体となった画枠に端を発した額縁の初期の作品には同様の形式が多く見られることはよく知られています。というのも、中世絵画の多くが家庭では肖像画を額縁に収めることが多く、一種祭壇画を彷彿とされるこのような形式が好まれたとされています。そんなタベルナクル額縁が見られるのが、ロンドンのナショナルギャラリーに所蔵されているGiovanni Bellini(ジョヴァンニ・ベリーニ)作と言われる「Doge Leonardo Loredan(ヴェネツィア総督レオナルド・ロレダーノ)」を収めた額縁で、15世紀ヴェネツィアで製作されたものと言われるもので、後々20世紀初めにこの絵画を収めるようになったとされています。