イタリアの画家ジョット・ディ・ボンドーネによって額縁の現在版ともいえるプロフィールのある額縁が完成されたと言われています。それまでの平らな枠が影をひそめ、建築方面で使われている刳形(あるいは繰り形)とプロフィールの組合せが織りなす立体的な額縁が登場することとなったのです。これにより祭壇画の1パネルでしかなかった絵画が一つの独立した美術品という地位を得ることになりました。今まではどちらかというと神学色が強かった絵画がまさにその枠を解き放たれて向き合う人に対して自己主張が可能になったと言えるのかもしれません。このことは単に一画家が生み出した気まぐれではなく、既に世の中がそのようなものを無意識のうちに要望していたものを、具体化したがゆえに受け入れられたと言ってもいいのかもしれません。まさに「必要は発明の母」とでも言い換えられるのかもしれません。