17世紀に登場したとされる室内画の中でも、銅版画で知られるフランスの版画家アブラハム・ボス。彼の描いたとされる作品を注意深く観察するといろいろな発見があると言われています。
当時の調度品の様子から壁に飾られている絵画やそれを収めている額縁など。歴史を語る上で資料の少ないとされる額縁については、格別得難いものであることは間違いなさそうです。
例えば1635年頃の作品とされる『賢い処女とおろかな処女』からは、当時絵画は額縁には収められているものの壁には掛けずに立てかけたように飾られていることが分かります。
憶測の域を出ませんが、当時は日常的に絵画(肖像画など)を飾っておくという習慣がなく、機会あるときだけ一時的に保管から出して飾ったためでは、と言われています。