ひと頃はその芸術性ゆえに栄華をきわめた額縁も、居住文化の変遷や製作できる職人さんが減り衰退の一途と言われて久しい中で、そういった素晴らし額縁のお披露目ともなればことさら話題性を帯びてくるのもある意味で希少であるがゆえの裏返しと言えなくもありません。

そうは言っても芸術性のある優れた作品には現代とは異にする芸術の世界を作っていることに変わりはありません。そうであれば現代のような機能性重視の額縁と芸術性を高めた額縁との共存を別の芸術文化として受け入れたほうが自然なのかもしれません。

絵画と同じように芸術的な額縁は、美術館や一部の収集家の画廊などで鑑賞し、家庭の壁には機能的な額縁に好きな作品を収めて楽しむというのが現代流といえるのかもしれません。