実際に残されている額縁から歴史が読み取れることはもちろんですが、描かれている絵の中にある額縁からもさまざまなことが分かります。その一つとして、マネの描いた『エヴァ・ゴンザレスの肖像』があります。描かれているエヴァは、絵の中で静物を描いていますが、キャンバスの上にではなく、すでに金色の額縁の付いている画面に描いています。この絵はサロンに出品されたもので、1870年と日付も残っています。この時期の印象の画家は、実験的な側面もありますが、シンプルに白く塗っただけの額縁を使っていました。しかしこのエヴァの肖像画を見ると額縁は金色です。その時代でも、まだ金色の額縁を好んでいる人がいたことも読み取ることもできます。どのような色が好まれていたかの情報を読み取ることもできるのです。